LaTeX作例27(3.8.2 基底関数の導入:\ruby{Pople}{ポープル}-\ruby{Nesbet}{ネスベット}方程式)
- 量子化学に関する本を引用し、僕が書いたLaTeXの作例を紹介します
- 今日のポイントは、ドキュメントクラスです。僕が何となく使っていた、jsarticleは次のような位置づけだったんですね~
jsclasses 用途・論理構造 jsarticle 記事、論文用のドキュメントクラスです。
部、節、小節、小々節、段落、小段落からなります。jsreport レポート、報告書用のドキュメントクラスです。
部、章、節、小節、小々節、段落、小段落からなります。jsbook 書籍用のドキュメントクラスです。
部、章、節、小節、小々節、段落、小段落からなります。
- プリアンブルは全部コピペして使ってるので、かなり余計なものも混ざってます。すいません
- パッケージは基本的にデフォルトで入ってるやつが使われていると思います(たぶん)
- ページ番号は原典と異なります
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『新しい量子化学―電子構造の理論入門』
出版社 : 東京大学出版会 (1987/7/1) - 発売日 : 1987/7/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 303ページ
- ISBN-10 : 4130621114
- ISBN-13 : 978-4130621113
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[http://:title]
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\documentclass{jsarticle}
\usepackage{mathrsfs}
\usepackage[dvipdfmx]{graphicx}
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\usepackage{calligra}
\usepackage{calrsfs}
\usepackage{mathrsfs}
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\begin{document}
\subsection*{3.8.2 基底関数の導入:\ruby{Pople}{ポープル}-\ruby{Nesbet}{ネスベット}方程式}
\parindent=1zw
非制限Hartree-Fock方程式(3.312)および式(3.313)を解くためには、ちょうどRoothaanの方程式を導いたときに行ったように、基底関数系を導入してこれらの微積分方程式を行列方程式(J. A. Pople and R. K. Nesbet, Self-consistent orbitals for radicals, $J.\;Chem.\;Phys.\;\bm{22}:571(1954).)$に変換しておく必要がある。そのために、ここで基底関数の組$\{\phi_\mu|\mu=1,2,\cdots,\;K\}$を導入し、これで非制限分子軌道を展開する。
\begin{flalign*}
&&\psi_i^\alpha&=\sum_{\mu=1}^KC_{\mu i}^\alpha\phi_\mu\hspace{20mm}i=1,2,\cdots,\;K&\text(3.328)\\
&&\psi_i^\beta&=\sum_{\mu=i}^KC_{\mu i}^\beta\phi_\mu\hspace{20mm}i=1,2,\cdots,\;K&\text(3.329)
\end{flalign*}
2つの固有値方程式(3.312)と式(3.313)は、その固有関数の組$\{\psi_i^\alpha\}$と$\{\psi_i^\beta\}$がそれぞれ独立に規格直交系をなすことを保証している。しかし、組$\{\psi_i^\alpha\}$に属する関数と組$\{\psi_i^\beta\}$に属する関数が直交するという理由はない。もっとも、たとえその2つの空間軌道の組が互いに重なりをもっても、空間部分の直交性($\alpha\alpha$と$\beta\beta$の場合)とスピン部分の直交性($\alpha\beta$の場合)によって、$2K$個のスピン軌道の組$\{\chi_i\}$は規格直交系をなす。
軌道$\psi_j^\alpha$の展開式(3.328)を$\alpha$スピンのHartree-Fock方程式(3.312)に代入すると
$$\sum_\nu C_{\nu j}^\alpha f^\alpha(1)\phi_\nu(1)=\varepsilon_j^\alpha\sum_\nu C_{\nu j}^\alpha\phi_\nu(1)\eqno(3.330)$$
となる。上式に$\phi_\mu^*(1)$をかけ、電子1の空間座標について積分すると
$$\sum_\nu F_{\mu\nu}^\alpha C_{\nu j}^\alpha=\varepsilon_j^\alpha\sum_\nu S_{\mu\nu}C_{\nu j}^\alpha\hspace{20mm}j=1,2,\cdots,\;K\eqno(3.331)$$
を得る。ここで$\bm{S}$は重なり行列(式(3.136)参照)で、$\bm{F}^\alpha$は基底関数系$\{\phi_\mu\}$における$f^\alpha$の表現行列
$$F_{\mu\nu}^\alpha=\int d\bm{r}_1\phi_\mu^*(1)f^\alpha(1)\phi_\nu(1)\eqno(3.332)$$
である。$\beta$軌道についても同様な結果が得られる。式(3.331)の代数方程式と、これに対応する$\beta$軌道の方程式はつぎの2つの行列方程式にまとめることができる。
\begin{flalign*}
&&\bm{F}^\alpha\bm{C}^\alpha&=\bm{SC}^\alpha\bm{\varepsilon}^\alpha&\text(3.333)\\
&&\bm{F}^\beta\bm{C}^\beta&=\bm{SC}^\beta\bm{\varepsilon}^\beta&\text(3.334)
\end{flalign*}
この2つの方程式は、Roothaanの方程式(式(3.139)参照)の非制限の場合への一般化にあたり、PopleとNesbetによって最初に導かれた。行列$\bm{\varepsilon}^\alpha$と$\bm{\varepsilon}^\beta$は、軌道エネルギーからなる対角行列(式(3.141)参照)である。$K\times K$の正方行列$\bm{C}^\alpha$と$\bm{C}^\beta$の列は、$\psi_i^\alpha$と$\psi_i^\beta$の展開係数である(式(3.140)参照)。上の方程式はRoothaanの方程式を解くのと同様の方法で解くことができるが、違っているのは$\bm{F}^\alpha$と$\bm{F}^\beta$は、ともに$\bm{C}^\alpha$と$\bm{C}^\beta$の両方に依存しているために、この2つの行列固有値問題を連立して解かなければならないことである。これらの方程式の解法の説明は、非制限密度行列と$F_{\mu\nu}^\alpha$および$F_{\mu\nu}^\beta$のあらわな形について述べた後に行う。
\end{document}
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