Master3’s blog

LaTeXやExcelVBAなどの作例集

LaTeX作例28(3.8.3 非制限密度行列)

  • 量子化学に関する本を引用し、僕が書いたLaTeXの作例を紹介します
  • 今回は積分記号

    \int

    が登場しています。この本ではdrと積分記号の間に何も入っていないので積分が実行されないのではないかと思う人がいるかもしれませんが、この記法の場合はこれらは演算子としての記述になるので、この記号の右側にある変数rを含む数式すべてに作用しているという風に解釈しなければいけないんですね!
  • \eqno( )コマンドを用いることで、数式に任意の式番号を割り振ることができます。

  • プリアンブルは全部コピペして使ってるので、かなり余計なものも混ざってます。すいません
  • パッケージは基本的にデフォルトで入ってるやつが使われていると思います(たぶん)
  • ページ番号は原典と異なります
  • 『新しい量子化学―電子構造の理論入門』

    出版社 ‏ :  東京大学出版会 (1987/7/1)
  • 発売日 ‏ :  1987/7/1
  • 言語 ‏ :  日本語
  • 単行本 ‏ :  303ページ
  • ISBN-10 ‏ :  4130621114
  • ISBN-13 :  978-4130621113
  • [http://:title]

    3.8.3.tex - Google ドライブ

  • \documentclass{jsarticle}

    \usepackage{mathrsfs}

    \usepackage[dvipdfmx]{graphicx}

    \usepackage{parskip}

    \usepackage{indentfirst}

    \usepackage{amsmath,amssymb}

    \usepackage{braket}

    \usepackage{otf}

     

    \usepackage{calligra}

    \usepackage{calrsfs}

    \usepackage{mathrsfs}

     

    \usepackage{bm}

    \usepackage{okumacro}

    \begin{document}

     

    \subsection*{3.8.3 非制限密度行列}

     

    \parindent=1zw

     

    この節でも、先に得た制限つき閉殻波動関数に関する結果の一般化を引き続き行う。1個の電子が分子軌道$\psi_a^\alpha(\bm{r})$を占めているとすると、その電子を$\bm{r}$にある体積要素$d\bm{r}$内に見いだす確率は$|\psi_a^\alpha(\bm{r})|^2d\bm{r}$になる。その確率密度関数電荷分布)は$|\psi_a^\alpha(\bm{r})|^2$である。$\alpha$スピンをもった電子が$N^\alpha$個あると、これらの電子による全電荷密度は

    $$\rho^\alpha(\bm{r})=\sum_a^{N^\alpha}|\psi_a^\alpha(\bm{r})|^2\eqno(3.335)$$

    となる。これに対応して$\beta$スピンをもった電子による電荷密度は

    $$\rho^\beta(\bm{r})=\sum_a^{N^\beta}|\psi_a^\beta(\bm{r})|^2\eqno(3.336)$$

    となり、全電荷密度はこれらの和

    $$\rho^T(\bm{r})=\rho^\alpha(\bm{r})+\rho^\beta(\bm{r})\eqno(3.337)$$

    となる。上式を積分すると、期待されるように

    $$\int d\bm{r}\rho^T(\bm{r})=N=N^\alpha+N^\beta\eqno(3.338)$$

    となる。

     

    非制限波動関数では、$\alpha$スピンの電子と$\beta$スピンの電子は異なる空間分布をもつ$(\rho^\alpha\neq\rho^\beta)$ので、スピン密度$\rho^S(\bm{r})$を

    $$\rho^S(\bm{r})=\rho^\alpha(\bm{r})-\rho^\beta(\bm{r})\eqno(3.339)$$

    で定義しておくと便利である。このスピン密度の定義によると、$\beta$スピンの電子を見つけるよりも$\alpha$スピンの電子を見つける確率が大きい空間の領域ではスピン密度が正になる。逆に$\beta$スピンの電子を見つける確率が大きい空間の領域ではスピン密度は負になる。個々の密度$\rho^\alpha$と$\rho^\beta$は、もちろんどこでも正である。このスピン密度は、開殻系のスピン分布を記述する1つの便利な方法である。

     

    \hrulefill

     

    $\alpha$および$\beta$分子軌道の基底関数系による展開式(3.328)と式(3.329)を、$\alpha$および$\beta$電荷密度の表式(3.335)と式(3.336)に代入すると、$\alpha$および$\beta$電荷密度の表現行列(密度行列)をつくることができる。

    \begin{flalign*}

    &&\rho^\alpha(\bm{r})&=\sum_a^{N^\alpha}|\psi_a^\alpha(\bm{r})|^2=\sum_\mu\sum_\nu P_{\mu\nu}^\alpha\phi_\mu(\bm{r})\phi_\nu^*(\bm{r})&\text(3.340)\\

    &&\rho^\beta(\bm{r})&=\sum_a^{N^\beta}|\psi_a^\beta(\bm{r})|^2=\sum_\mu\sum_\nu P_{\mu\nu}^\beta\phi_\mu(\bm{r})\phi_\nu^*(\bm{r})&\text(3.341)

    \end{flalign*}

    $\alpha$電子の密度行列$\bm{P}^\alpha$と$\beta$電子の密度行列$\bm{P}^\beta$は

    \begin{flalign*}

    &&P_{\mu\nu}^\alpha&=\sum_a^{N^\alpha}C_{\mu a}^\alpha(C_{\nu a}^\alpha)^*&\text(3.342)\\

    &&P_{\mu\nu}^\beta&=\sum_a^{N^\beta}C_{\mu a}^\beta(C_{\nu a}^\beta)^*&\text(3.343)

    \end{flalign*}

    で定義される。この2つの密度行列を使って、先に行った定義と同じように全密度行列とスピン密度行列を定義することができる。すなわち

    \begin{flalign*}

    &&\bm{P}^T&=\bm{P}^\alpha+\bm{P}^\beta&\text(3.344)\\

    &&\bm{P}^S&=\bm{P}^\alpha-\bm{P}^\beta&\text(3.345)

    \end{flalign*}

    である。

     

    \hrulefill

     

    非制限密度行列$\bm{P}^\alpha,\;\bm{P}^\beta,\;\bm{P}^T$および$\bm{P}^S$を定義したので、次節ではこれらの定義を用いて非制限Fock行列$\bm{F}^\alpha$と$\bm{F}^\beta$にあらわな形を与えることにする。

     

    \end{document}

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