筆者はこの記事を書いているときは就職活動をしているのですが、筆者の親は筆者が公務員になることを要求しています。そこで、公務員になるということがどういうことなのかを考えるきっかけになる本に出会ったので、この本について紹介していきたいと思います。
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p.14——————————————————————————————————
デスクワークではない公務員
公務員といえば、ともすれば定時出勤・退庁という規則正しい勤務が思い浮かぶ。
もしくは最近ではドラマや小説でも描かれて知られるようになった役所内での泊まり込みもじさない中央官庁のキャリアにみられる激務ぶりだ。
いずれにせよ公務員といえばデスクワーク中心の仕事と思われがちである。
だがそのどちらでもない職種もいくつか存在する。
……(中略)……
厚生労働省には、近年、問題視されている”ブラック企業”を取り締まる「労働基準監督官」もいる。彼らもまたデスクワークよりも”フットワーク”の仕事だ。
「机に座っている暇はないです。企業の実態を調べるために張り込みもしますから。頭と体力、そして気力が求められます。悪徳企業撲滅のために働ける。これが労働基準監督官です」(労働基準監督官)
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日本の労働市場の治安の悪さは、今や世界有数となっています。その原因について、大人気作家の橘玲氏は以下の著作でこのように記しています。
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p.206-209——————————————————————————————————
「過労自殺はなぜなくならない?」誰も言わない単純な理由
大手広告代理店に入社してわずか8ヶ月の女性社員が2015年のクリスマスの晩に投身自殺し、日本企業の長時間労働と過労死があらためて批判されました。この広告代理店では2013年にも30歳の男性が過労死(病死)しており、労働基準監督署からのたび重なる是正勧告を無視していたことが「悪質」と見なされ、刑事事件も視野に入れて立ち入り調査が行われました。
報道によれば、女性社員はインターネット広告を担当する部署に配属され、クライアント企業の広告データの集計・分析、レポート作成などを担当していました。このネット広告は9月末に、レポートを改ざんして運用実績を虚偽報告したり、広告不掲出で過剰請求したりするなどの不正行為が発覚したばかりでした。その原因について会社側は、「現場へのプレッシャーも含めてマネジメントが配慮すべきだった」「複雑で高度な作業に対して恒常的に人手不足だった」と説明しています。
女性社員は自殺前、SNSに「休日返上で作った資料をボロクソに言われた もう体も心もズタズタだ」「いくら年功序列だ、役職についてるんだって言ってもさ、常識を外れたこと言ったらだめだよね」などと投稿しており、混乱する現場と稚拙なマネジメントの犠牲になったことは明らかです。
批判を受けて広告代理店は、本社ビルを夜10時に一斉消灯するなど深夜残業を抑制する措置を取りましたが、はたしてこんなことで問題が解決するでしょうか。
広告代理店はこれまで、テレビと新聞・雑誌を主な媒体として営業を行ってきました。それが2000年代に入って急速にインターネットにシフトしたため、従来のビジネスモデルを大きく転換しなくてはならなくなりました。
欧米企業はこのようなとき、まずはインターネット広告に精通した人材を外部(たとえばヤフーやグーグル)から引き抜き、プロジェクトチームのトップに据えます。チームのメンバーも、プログラミングやWEBデザインの経験がある若手をベンチャー企業などから集めるでしょう。まったく新しい分野なので、本社の社員は他部門との連絡役がいればいいだけです。
こうしたエキスパート集団なら、ネット広告のイロハも知らない新人が配属され、素人同然の上司に翻弄されて擦り切れていく、などという事態は考えられないでしょう。だったらなぜ、こんな簡単なことができないのでしょうか。
それはいうまでもなく、年功序列・終身雇用の日本企業では、プロジェクトの責任者を外部から招聘したり、中途入社のスタッフだけでチームを作るようなことができないからです。そのため社内の乏しい人材プールから適任者を探そうとするのですが、そんな都合のいい話があるわけがなく、「不適材不適所」で混乱する現場を長時間労働の体育快適根性論でなんとか切り抜けようとし、パワハラとセクハラが蔓延することになるのです。
なぜ労基署はこの違法・脱法行為を是正できないのでしょうか。それは官公庁こそがベタな日本的雇用の総本山で、民間企業を強引に指導すると「だったらお前たちはどうなんだ」とヤブヘビになるからです。事件を批判するマスメディアも同じ穴のムジナで、無意味な説教を繰り返すだけです。こうしてどれほど犠牲者が出ても、長時間労働も過労死も一向になくならないのです。
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もはや労働問題に関して、国に期待することはできないようです。それでは我々には打つ手がないのでしょうか。YouTubeで人気のひろゆき(西村博之)氏の以下の著作では、次のような方法を提案されていました。
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p.98-103——————————————————————————————————
「ブラック企業」から身を守る方法、まとめといた
……(中略)……
不当な金利を取る金融業を「サラ金」「闇金」と呼びますが、ひと昔前に比べると、サラ金の数はぐっと減りました。
なぜ、減ったのでしょうか。国民全員に騙されないための金融リテラシーが身についてからでしょうか。
そういった能力がついたからではなく、サラ金を訴えてお金を取る「弁護士」の数が増えたからなんですよね。サラ金を食い物にする弁護士が、「儲かる」という理由でサラ金業者をガンガン訴えはじめたのです。
元をたどれば、司法試験制度が変わって弁護士の数が多くなってきたので、食えない弁護士が増えたことが理由としてあります。
仕事を探している弁護士が、お金を儲ける仕事を探し、訴えれば確実に勝てる案件としてサラ金に目をつけたのです。
そして、この流れが、違法に残業代を支払わない「ブラック企業」の方に向かないかなと僕は願っています。
ブラックさを「ラッキー」に変える
ブラック企業というのは、残業代や休日手当を支払わなかったり、パワハラなどで名誉毀損をする発言をしたりするわけです。仕事を探している弁護士が、そういった企業を次々に訴えたらいいのです。
そもそも、サラ金を訴えてお金が取れるというのが弁護士の人たちに浸透したのは、テレビCMがきっかけでした。
法的には前々から訴えられたわけですが、それを「手堅い商売」と世間に知らしめたのは、CMがたくさん流れるようになって2~3年くらいが経ってからです。
サラ金の場合、やくざがバックについているイメージがあるかもしれませんが、蓋を開けてみると意外にいなかったりして、弁護士が出てくると撤退してしまったんですよね。
だから、「ブラック企業を訴えて、残業代を100万円、取り戻しました!」というCMが増えれば、「自分の会社もブラックだからお金取れるじゃん、ラッキー」という人がたくさん現れて、世の中はいい方向に変わるのではないかと思います。ブラック企業専門で訴える弁護士が増えていき、ノウハウを溜め込んでいけばいいんですよね。
今、ユニオンという形で、集団になって和民などの大企業と争う例が多いのですが、そうするとお互い有能な弁護士同士の戦いになるので、判決結果が完全な勝訴ではなかったり、和解になったりしてしまします。
だから、手始めに弱小ブラック企業を訴える例がどんどん増えていけばいいと思います。弁護士が心を鬼にしてアコギな商売をしていってほしいんですよね。
いつでも「録音」できるように
ブラック企業を訴えたあとのお金の回収も、従業員であれば非常にラクです。主要な取引先も知っているでしょうから、そこから口座を押さえればいいのです。
不景気ですし、食えない弁護士が食い物になるブラック企業相手にもっとヤンチャになれば、手っ取り早く社会は良くなると思います。
そのためには、「残業代が支払われていないこと」や「パワハラ発言があること」を、労働者であるあなたが証拠として持っておかなければなりません。
豊田真由子元議員の秘書や「しゃぶしゃぶ温野菜」の事件でも、ICレコーダーで「録音」していたことがカギとなりました。
企業の不当な行動を録音、あるいは録画しておけば、メディアを使って拡散することもできます。テレビのようなマスメディアは、大きな事件性のあるものしか取り上げないかもしれませんが、今はSNSの時代です。個人で発信して、たくさんの賛同者を集めることもできるでしょう。
だから、不当なことがあったときに泣き寝入りするのではなく、常に証拠を抑えるという姿勢を持つことです。
ブラックは「根絶やし」にせよ
ブラック企業大賞というのがあります。運営メンバーは、弁護士や大学教授らで構成されており、毎年、有名なブラック企業の事例が取り上げられて勝手に表彰しています。
もちろん、世間的にブラックな現状を認知させる意味はあると思うのですが、根本的な解決にはならないのではないかと僕は思っています。
電通や和民、すき家で働く人は少なくなるかもしれませんが、その労働力がほかのブラック企業に移動するだけだと思うからです。
たとえば、ホームレス対策において大事なのは、「場所を移動させること」ではなく、「社会復帰させること」です。害虫駆除でも、その虫を殺すのと、隣の家に移動させることは意味がまったく違います。
どうも日本の政策では、後者の「移動させるだけ」という解決方法が多いです。
たとえばホームレスの場合、駅前にいなくなればOKということにして、河原や公園など、見えないところに移動させて終わりにしてしまうのです。
個人レベルで自分の所属している会社を訴える例は、探してみればたくさんあると思います。けれど、社会的にはまだまだ認知されていないので、読者の皆さんの力も借りて、もっと早く広まればいいなと思っています。