無知を晒すようでお恥ずかしいですが、物理化学を学ぶ人の頭の体操になればと思い、公開します。
私 :板書にあった∃eの[∃]は何を意味しているのか。
教授:∃は数学記号で、exists(存在する)という意味。
私 :複素共役、ノルムとは何か?
教授:えーと、正気ですか?数学の基礎を復習する必要があるのでは?
私 :恒等要素はすべての分子に対して当てはまるのか。
教授:対称操作を施す前と後とで区別がつかないというのが対称操作だということを元に考えてみれば分かるのでは?
私 :指標表とは何か。
教授:もちろん今後説明しますが、参考書を読んでみてもいいのでは?
私 :シュレディンガー方程式の各記号は何を意味するのか。
教授:本気か?てゆーか、自分で極限まで努力して調べて考えて、それでもわからなかったということか??
私 :ベンゼンの振電許容を直積によって計算した結果、許容だったのはであるのに、実際に観測されるのが
であるのはなぜか。
また、このときとなるのはなぜか。
教授:激しく勘違いしている予感。それぞれの既約表現が何の対称性を表しているのか(一電子励起状態なのか、基準振動なのか)よくよく整理して考える必要があるのでは?
振動の対称性が、振動を表す波動関数の対称性であることに、何の疑問があるのか?
私 :点群の振動の自由度
は、指標表中のどの対象操作、既約表現に由来するものなのか。それとも、直線分子で
を求める操作においては、指標表中の既約表現は考慮しないのか。
教授:原子数や対称性に特例はない。通常の手法・手順によって基準振動解析を行えばよい。
私 :群と分子の性質との間には、どんな関係がありますか。
教授:様々な関係があるが、例えばわかりやすい既修の範囲で言えば、分子が鏡映面(より性格には回映軸)を持っていればその分子は光学活性ではないとか、対称中心(反転)iを持っていれば永久双極子モーメントを持たないとか…… それからもちろん、分光学的性質が分子の対称性に支配されている、というのがこの講義の主題のひとつ
私 :教科書[http://
:title]の図15.1
では励起一重項状態よりも三重項状態のほうが核間距離が長い側に描かれているが、この位置関係は絶対的なものなのか。
教授:本気か?”概略図”という言葉の意味がわからないのか?
結合性・反結合性オービタル、電子配置、結合次数などについて勉強すればいいのでは?
私 :電子が光によってしか励起されないのはどうしてか。光エネルギーは、ほかのエネルギーと本質的なちがいがあるのか。たとえば熱エネルギーが励起を起こすのに十分なエネルギー量がないとするならば、温度と圧力を無限に上げていっても励起が観測される見込みはないのか。あるいは、ボルツマン分布が励起状態の確率を表しているとすると、それが温度の関数であるということは、電子が励起される確率も温度の関数となっているのだろうか。熱エネルギーは温度を介して励起の確率を上げている?
教授:本気か?教科書1章を見れば、水素を封入した放電管からの発光の話が出てくる。すなわち水素原子中の電子は、電気エネルギーで励起されている。また黒体輻射は、熱エネルギーを与えられた物体が光る話だ。もちろん、気体分子運動論は、温度と気体の内部エネルギーの話だし。
私 :LCAOとは何か
教授:どこで出てきたのでしょうか?教科書や参考書の索引を調べればいいのでは?
私 :ボーアは、ボーアの振動数条件をシュレディンガー方程式から演繹的に導いたのではないのか。もしそうでないなら、どのような現象から導かれたのか。
教授:本気か?教科書の1章や参考書をよく読めば分かるのでは?
私 :ベンゼンのπオービタルを考えるときに、部分群であることからD6h→D6として考えたが、どうして他の部分群で考えないのか。
教授:別に。考えたいのなら、好きにすればいいのでは?例えばCSで考えれば、各原子上のpπオービタルは、それ自身ですでに既約表現の基底になっている。さてこのとき、これらのオービタル関数をどうやってD6hの既約表現に対応させたらよいだろうか?
部分群の位数は、元の群の位数の約数でなければならないという定理。
私 :D6→D6hを考えるときにはD6⊗iを考えるが、この直積は指標の掛け算として計算できないように思える。どのように計算するのか
教授:勘違いでは?ある群における直積表現の指標(指標表において行間の積、例えばA2⊗B1=B2を(いずれもD6群))と、群の直積または余剰群と言ったらいいか(?)(列方向の積、例えばC2(D6群)⊗i(Ci群)=σh(D6h群);および行方向の積A1(D6群)⊗Au(Ci群)=A1u(D6h群))を混同している。
私 :射影演算子、部分群とは何か?
教授:なぜその場で質問しなかったのか?
私 :ラマン散乱のオペレータerと演算子は、対応する規約表現をどのようにして決定するのか(あるいは対応しないのか)。
教授:ラマン散乱のオペレータは、電気双極子モーメントerではなく分極率α(3×3の行列()テンソル))。既約表現については、指標表を見る(対応しないことはアリエナイ)。
私 :群軌道では、どのようにして各既約表現由来の電子軌道の形状が特定されるのか。
教授:そうか、”特定”の使い方に違和感があるのか。
射影演算子(projection operator)を使う。別名、生成演算子とかgenerating machine等とも呼ばれるが。
私 :分子構造を特定するために点群を解析する方法は実際には人の手による計算が必要とされるときはあるのか。
教授:”分子構造を特定するために点群を解析する”っていうところが、なんか微妙にズレてる予感。
もちろん現在は、分子構造を与えれば、群論的な解析をしてくれるプログラムもあるでしょう。すなわち分子構造から物性やスペクトルを予想する。しかし実際には逆で、”分子構造を特定する”ための根拠は実験事実によるしかないわけで、すなわち物性やスペクトルなどの実験事実から分子構造を推定する。
私 :スタッガード型とエクリプス型と一般の角が考えられる分子では、ほとんどの分子がエネルギー的にもっとも安定な状態(型)をとっていると思われるが、光学的性質を見るときはそのもっとも安定なものだけを考えることでは不十分か。
教授:室温と比べて、単結合の回転配座の違いのエネルギー差は小さいと予想されるし、また回転のエネルギー障壁も小さいと予想されますが。
ソースはこれです