Master3’s blog

LaTeXやExcelVBAなどの作例集

LaTeX作例22(3.7.1 全エネルギー)

  • 量子化学に関する本を引用し、僕が書いたLaTeXの作例を紹介します
  • ポイントとしては、

    Schr\"{o}dinger

    ウムラウトが登場します。ドイツ語なんですね
  • プリアンブルは全部コピペして使ってるので、かなり余計なものも混ざってます。すいません
  • パッケージは基本的にデフォルトで入ってるやつが使われていると思います(たぶん)
  • ページ番号は原典と異なります
  • 『新しい量子化学―電子構造の理論入門』

    出版社 ‏ :  東京大学出版会 (1987/7/1)
  • 発売日 ‏ :  1987/7/1
  • 言語 ‏ :  日本語
  • 単行本 ‏ :  303ページ
  • ISBN-10 ‏ :  4130621114
  • ISBN-13 :  978-4130621113
  • [http://:title]

    3.7.1.tex - Google ドライブ

  • \documentclass{jsarticle}

    \usepackage{mathrsfs}

    \usepackage[dvipdfmx]{graphicx}

    \usepackage{parskip}

    \usepackage{indentfirst}

    \usepackage{amsmath,amssymb}

    \usepackage{braket}

     

    \usepackage{calligra}

    \usepackage{calrsfs}

    \usepackage{mathrsfs}

     

    \usepackage{bm}

    \usepackage{okumacro}

    \begin{document}

     

    \section*{3.7 閉殻Hartree-Fock計算の例}

     

    \parindent=1zw

     

    この節では、閉殻分子の基底状態に対するHartree-Fock計算の特徴を示す実例を紹介していく。これまでに、SCF計算の定式化及び閉殻の制限つきHartree-Fockの手続と多原子系の基底関数系を述べてきた。これらは、計算の結果を正しく評価するために必要な知識である。現在、非常に多くの数のSCF計算が文献に発表されている。ここではこうした計算の総説を試みるつもりはない。その代わりに、前節で紹介したいくつかの基底関数系を用い、少数の“典型的な”分子を計算して、一般的なSCF計算に期待できる精度がどの程度のものかを示していく。対象分子を限定し、用いる基底関数系を明確に定義しておけば、後の章で扱うHartree-Fock近似を越えた種々の方法を共通の基底関数と分子に適用して結果を比較することが容易になる。こうすれば、量子化学における様々な計算方法によって得られる結果に対して、文献から得られる結果を数多く並べるよりも系統的な説明を行う助けとなるであろう。したがって、この節における私たちの目的はSCF計算の結果そのものを例示することに加えて、少数の選ばれた物理量のHartree-Fock法による数値を、後の章で得られるより精度の高い値との比較のために示しておくことである。いくつかの例では、Hartree-Fock計算の結果は定性的にも誤っているが、後の章で見るように、これらの誤りは電子相関の効果を取り入れることによって修正される。

     

    計算の対象とする分子は、H$_2$、等電子分子であるN$_2$とCO、および10電子系分子、CH$_4,\;\rm{NH}_3,\;\rm{H_2O,\;FH}$である。すべての計算における標準的な核配置は、特に断らない限り表3.10に示されているものを使う。これらの“実験”値は、 “最良の”つまり最新の構造決定によって得られる値に近いが、全く同じであるとは限らない。ここに選ばれた少数の分子では、非経験的計算によって知ることができる豊富な科学的知識のすべてを紹介することができないのはいうまでもない。しかし、SCF計算から得られる興味のある結果の例を示すには十分である。3.8節で開殻の計算について論じるときに、さらにいくつかの分子に触れる。ただし、この本のほとんどの部分で挙げる計算の例は表3.10の分子についてである。

     

    \subsection*{3.7.1 全エネルギー}

     

    すべての非経験的計算において、いちばん最初に得られる量は全エネルギーであろう。全エネルギーは、量子力学計算によって得られる電子エネルギーに古典的な核反発のエネルギーを加えたものである。SCF近似においては、電子エネルギーは変分原理に従う量であって、“より良い”基底関数系を用いればより低い全エネルギーが得られる。基底関数が完全系に近づけば近づくほど、全エネルギーはHartree-Fock極限に近づいていく。この極限は、いくつかの例については、大規模な基底関数系を用いた一連の計算から推定されている。変分原理によれば、Hartree-Fock極限のエネルギーは、Born-Oppenheimer近似の下での非相対論的Schr\"{o}dinger方程式の解である“正確な”エネルギーよりもまだ高い。He、Be、$\cdots$などの原子に対する非常に精度の高い計算においては、実験値とこれらの“正確な”エネルギーとを比較する際に、相対論的およびBorn-Oppenheimer近似の補正を正しく考慮することが必要になる。しかし量子化学における大半の目的に対しては、これらの2つの補正は無視できると仮定でき、計算による“正確な”結果は実験値に等しいと考えてよい。

     

    表3.11から表3.13には、表3.10に挙げた分子に対して4種類の基底関数系、STO-3G、4-31G、6-31G*および6-31G**を用いて計算された全エネルギーが掲げてある。H$_2$には内殻がなく、また$d$型分極関数を用いるべき重原子もないので、6-31G*基底関数は、この分子に対しては4-31G基底関数とほぼ等価である。同様にして、$p$型分極関数が加えられるべき水素がN$_2$とCOにはないので、6-31G**基底関数は6-31G*基底関数と等価である。全エネルギーの絶対値そのものはそれほど大切ではない。化学の分野におけるエネルギー的考察では、エネルギーの絶対値よりもエネルギーの差のほうがはるかに大切である。

     

    \hrulefill

     

    具合の悪いことに、エネルギーの差は変分原理を満足しないので、エネルギーの差における誤差を見積るのは困難な場合が多い。しかし、各分子種に対して同程度の基底関数系を用いたとすると、エネルギー差の誤差はもとの絶対エネルギーの値における誤差よりもずっと小さくなると期待される。先の問題(Exercise 3.32)で見たように、SCF近似はエネルギーの差、化学反応に伴うエネルギー変化に対してさえ、定性的に役立つ結果をしばしば与えてくれる。しかしながら、確実な定量的結果を得るためには、一般に相関エネルギーの変化を見積ることが必要である。

     

    \end{document}