Master3’s blog

LaTeXやExcelVBAなどの作例集

LaTeX作例10(3.4.3 電荷密度)

  • 量子化学に関する本を引用し、僕が書いたLaTeXの作例を紹介します
  • ポイントとしては、イコールでいくつもつながった式を、イコールの位置でそろえ、かつ、中央ぞろえにするというテクニックです(式(3.144))。
  • プリアンブルは全部コピペして使ってるので、かなり余計なものも混ざってます。すいません
  • パッケージは基本的にデフォルトで入ってるやつが使われていると思います(たぶん)
  • ページ番号は原典と異なります
  • 『新しい量子化学―電子構造の理論入門』

    出版社 ‏ :  東京大学出版会 (1987/7/1)
  • 発売日 ‏ :  1987/7/1
  • 言語 ‏ :  日本語
  • 単行本 ‏ :  303ページ
  • ISBN-10 ‏ :  4130621114
  • ISBN-13 :  978-4130621113
  • [http://:title]

    3.4.3.tex - Google ドライブ

  • \documentclass{jsarticle}

    \usepackage{mathrsfs}

    \usepackage[dvipdfmx]{graphicx}

    \usepackage{parskip}

    \usepackage{indentfirst}

    \usepackage{amsmath,amssymb}

    \usepackage{braket}

     

    \usepackage{calligra}

    \usepackage{calrsfs}

    \usepackage{mathrsfs}

     

    \usepackage{bm}

    \pagenumbering{roman}

    \begin{document}

     

    \subsubsection*{3.4.3 電荷密度}

     

    \parindent=1zw

     

    空間波動関数$\psi_a(\bm{r})$によって記述された1個の電子を考えると、その電子を、点$\bm{r}$にある体積要素$d\bm{r}$中に見いだす確率は$|\psi_a(\bm{r})|^2d\bm{r}$で与えられる。この場合、確率密度関数電荷密度)は$|\psi_a(\bm{r})|^2$である。各占有分子軌道$\psi_a$に2個の電子が入っている1個の行列式によって記述される閉殻分子では、全電荷密度はちょうど、

    $$\rho(\bm{r})=2\sum_a^{N/2}|\psi_a(\bm{r})|^2\eqno(3.142)$$

    であって、$\rho(\bm{r})d\bm{r}$が$\bm{r}$における$d\bm{r}$に任意の1個の電子を見いだす確率である。電荷密度を積分するとちょうど全電子数を与える。

    $$\int d\bm{r}\rho(\bm{r})=2\sum_a^{N/2}\int d\bm{r}|\psi_a(\bm{r})|^2=2\sum_a^{N/2}1=N\eqno(3.143)$$

    1個の行列式に対しては、これらの式は全電荷密度がちょうど各電子に対する電荷密度の和になっていることを示している。

     

    \hrulefill

     

    さて、分子軌道の展開式(3.133)を電荷密度に対する表式(3.142)に代入すると

    \begin{flalign*}

    &&\rho(\bm{r})&=2\sum_a^{N/2}\psi_a^*(\bm{r})\psi_a(\bm{r})&\\

    && &=2\sum_a^{N/2}\sum_\nu C_{\nu a}^*\phi_\nu^*(\bm{r})\sum_\mu C_{\mu a}\phi_\mu(\bm{r})&\\

    && &=\sum_{\mu\nu}\left[2\sum_a^{N/2} C_{\mu a}C_{\nu a}^*\right]\phi_\mu(\bm{r})\phi_\nu^*(\bm{r})&\\

    && &=\sum_{\mu\nu}P_{\mu\nu}\phi_\mu(\bm{r})\phi_\nu^*(\bm{r})&\text(3.144)

    \end{flalign*}

    を得る。ここで、密度行列、あるいはときに電荷結合次数行列と呼ばれる

    $$P_{\mu\nu}=2\sum_a^{N/2}C_{\mu a}C_{\nu a}^*\eqno(3.145)$$

    を定義した。式(3.144)からわかるように、基底関数$\{\phi_\mu\}$が与えられれば、電荷密度$\rho(\bm{r})$は行列$\bm{P}$によって完全に決まってしまう。電荷密度は式(3.145)によって展開係数$\bm{C}$から直接定まり、閉殻Hartree-Fock計算の結果は$C_{\mu i}$あるいは$P_{\mu\nu}$によってあらわすことができる。

     

    \hrulefill

     

    Exercise3.13の結果では、電荷密度を使ってFock演算子をあらわしている。この表式を用いると、どのようにHartree-Fockの手続きが進んでいくかを直観的に理解することができる。まず、密度行列$\bm{P}$を仮定する。すなわち、電子の位置を記述する電荷密度$\rho(\bm{r})$を仮定する。そうした仮定を設定する方法についてはあとで述べる。つぎに、式(3.146)にこの電荷密度を入れて有効1電子ポテンシャルを計算する。こうして、有効1電子ハミルトニアン(Fock演算子)が得られ、有効ポテンシャル中を運動する1個の電子の状態$\{\psi_i\}$を決める1電子のSchr\"{o}dinger方程式を解くことができる。新しい1電子状態(分子軌道$\psi_i$)を得れば、式(3.142)を用いて電荷に対するより良い近似を得ることができる。この新しい電荷密度から新しいHartree-Fockポテンシャルを計算し、この手続をHartree-Fockポテンシャル(すなわち、有効静電場)がもはや変化しなくなるまで繰り返す。すなわち、ある電荷密度を与える場(これは、1電子のSchr\"{o}dinger型方程式、つまりHartree-Fock固有値方程式を解くことによって得られる)と、その電荷密度から計算される(式(3.146)を用いる)場とが一致する(つじつまが合う)までこの手続を繰り返す。Hartree-Fock方程式がよく“つじつまの合った場:SCF”の方程式と呼ばれる理由はこの手続に由来する。以上が、Roothaanの方程式を解く方法の物理的説明である。実際の代数的な手続では、Fock行列$\bm{F}$に対するあらわな表式を使わなければならない。

     

    \end{document}